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by高卒(千葉県)、個人行動派(コネチカット州) 被っちゃったけど、クリスマスのかがみ(22歳 1浪) ケーキ屋 かがみ「あっ…」 ???「あっ…」 そこにあったのは残された1つのケーキ かがみ「いえ、私のほうが後だったので…」 ???「ん?おまえ…」 かがみ「はい…?」 ???「ひょっとして柊か?」 かがみ「えっ…あっ……黒井先生…?お久しぶりです…!」 黒井「おぉ。久しぶりやなー。妹の結婚式以来やから、えーっと、2年ぶりくらいかー?」 かがみ「そうなりますかねぇ。」 黒井「で、柊、大学のほうはどうやー?」 かがみ(ドキッ) 「た、楽しいですよ!授業も為になるし、友達も沢山できてっ…!毎日充実してますっ…!」 黒井「そか…ならええんや…」 「大学時代は一番楽しい時や…いっぱい楽しんだらええ…」 かがみ「……。」 黒井「そーいや、泉や高良とはまだ会おてるんかー?」 かがみ「ぇえ…まぁ…。」 黒井「そうかー。あいつうるさいやろ?」 かがみ「えっ…?」 黒井「泉や。泉。あいつとは未だにちょくちょく連絡取ってるんやけど、毎度毎度子どもの話聞かされてなーw」 かがみ「あははっw うちのつかさも2人も生んじゃって、その手の話にはもう慣れちゃいました…w」 黒井「そっかぁ…。あれから4年も経つんやなー」 かがみ「ですねぇ…。」 黒井「それにしても驚いたなー、泉のやつ、卒業した途端に結婚やろー?裏切りおって!」 かがみ「そ、そーですよね!あいつ、何も言わずにいきなり結婚だなんて…!」 黒井「あとは、お前と高良だけか~?」 かがみ「いえ、みゆきも来年結婚するみたいです…。」 黒井「そ、そか…。ところで、柊の夢は弁護士やったなー。どうや?いけそうかー?」 かがみ「あははー、先生、まだまだですよー。夢も恋もまだまだ勉強中です…。」 黒井「そうかー。」 かがみ「……。」 黒井「柊ぃ、」 かがみ「はい…?」 黒井「今から飲みにいかんかー?」 黒井(ゴクゴクゴクゴク)「っぷはぁ~。泉のアホー!」 かがみ「い、いきなりどうしたんですか…!」 黒井「柊も言うてみ」 かがみ「でも……」 黒井「ほれほれ」 かがみ(ゴクゴクゴクゴク…)「っぷはぁ~」 かがみ「つかさのばかやろー!こなたのばかやろー!みゆきのばかやろー!」 黒井「どーや?気持ちええやろ?」 かがみ「……。せんせぇ……(ヒック」 「ぅぅ…どーして…どーして私はらめなんれすかぁ~~」 黒井(こいつ泣き上戸かいな…) かがみ「せんせぇ…」 黒井「どーしたー?」 かがみ「ほんとは…毎日充実してるだなんて嘘なんです…」 黒井「……。」 かがみ「こなたたちはどんどん先に進んでいくのに、私は全然進めないんです、ダメなんです…」 黒井「わかる…わかるで柊…!今夜は飲も!とことん行くでー!」 勝手に 249 の続き そのまま飲み続けている かがみ 「(泣きながら)正直、私弁護士だめかもしれないです。もう、諦めちゃおうかと考えたりしてるんですよ」 ななこ 「柊が辛いのはわかるけど、せっかくがんばってきたんやないか。そんな事言わんとがんばりぃ」 かがみ 「わかりましたぁ(泣き)。じゃあ先生もさっき言ってた好きな人がんばって下さいよぅ」 ななこ 「先生の事は気にせんでえぇねん。ありがとな」 12/25 00 00 ななこのケータイに着信 ななこ 「柊、悪い。電話着たからちょっと外行ってくるわ」 電話に出るななこ ななこの恋の相手 「メリークリスマス。今年はお前に大切なプレゼントがある」 ななこ 「えっ、な、なに」 ななこの恋の相手 「俺、来月早々福岡から本社に戻ることになったんだ。それで、大学の時からかなり待たせたけど、その…」 ななこ 「(涙目)うんうん」 ななこの恋の相手 「ななこと暮らしていきたい」 …………… ななこ 「柊、まあ、頑張れや。ほな、そろそろ帰ろうや」
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へんたいかがみさん 「ちょっとこなた、何の真似よコレ!?」 「だってこうでもしないと、かがみん襲ってくるじゃん!」 「だからって、こんな檻に手錠に……こなたってばそういうプレイが好きだったのね! 初めて知ったわ!」 「ち、違うヨ!? 変な誤解しないでよ!」 「言ってくれれば直ぐにでも拘束して、あ~んな事やこ~んな事をしてあげたのに……こなたってば恥ずかしがり屋さんなのね! 可愛い!」 「ひ、人の話聞いちゃいね~!?」 「さあ、こなた……意地悪しないで外しなさいっ!」 「い、嫌だよ! だってその手錠とかはめるだけでも睡眠薬とか盛って大変だったんだよ? それなのにかがみんてば3分くらいで起きちゃうし!」 「愛の力よ!」 「愛SUGEEEE!?」 「そして、愛の力があれば……ふんっ!」 「手錠引きちぎったよ、この人!? 外してとか言う必要無かったじゃん!」 「次はこの邪魔な檻の番ね……」 「くっ……」 「な"!? スタン……ガン……」 「ネットで買ったんだ。 ……出来れば使いたく無かったんだよ? こんな物を使わないで、かがみんを説得するつもりで……」 「……カ・イ・カ・ンv」 「え"?」 「こなたってば、刺激的なのね……ビビビっと来たわ!」 「そんな……どうして……」 「私はね、こなた……。 こなたに対してはSであり、Mなのよっ!」 「な……!? 格好良く決めてるけど言ってる事むちゃくちゃだ~!?」 「こなた~♪」 「あ"あ"っ!? 気が付いたら檻壊れてるしっ!? にゃあああああ……」 へんたいかがみさん―了― へんたいかがみさん2 「こなた、ちょっと買い物に付き合って貰いたいんだけど」 「うぃうぃ~♪ 珍しいね、かがみんが私を買い物に誘うなんてさ」 「うん、ちょっと下着を買いに」 「……ごめん、急に用事が出来たよ」 「なんで?!」 「だって明らかに死亡フラグじゃん、それ!」 「あなたは死なないわ、私が守るもの」 「いや、誰のせいで死亡フラグが立ってると思ってるのさ!」 「そんな些細な事はどうでもいいから、ちょっと付き合いなさいよ!」 「やだよ!」 「付き合いなさいよ!」 「いやだって!」 「結婚しましょう!」 「学生なのにまだ早いよ……って違あぁう!?」 「なかなか言う事を聞いてくれないわね……」 「当たり前だヨ! だってそれ大事な人生の転機!」 「こうなったら、こなたの家に直接行くわよ!」 「な、何をするつもりさ?」 「こなたを買うわ!」 「いいから下着買ってきなよ!」 「実は下着を買いに行くのはこなたとイチャイチャする口実だったのよー!」 「うん、わかってた! んなこたぁわかってたよ最初から!?」 「わかってたって……実はこなた、私の嫁!? 嫁なの!?」 「空気嫁(KY)!」 「こうなったら、何が何でもこなたを買うしか無さそうね……」 「何でそうなるのさ!?」 「そうですよね、お義父さん!」 「うむ、そうだぞこなた!」 「駄目父さんktkr!?」 「ここは素直にかがみちゃんに買われとけって!」 「実の父が言う台詞じゃないよそれ!?」 「はっはっは、馬鹿だなぁ……。 どこかの知らない男と結婚するくらいなら、知ってるかがみちゃんに買って貰った方が幸せってもんだろう俺が!」 「娘の幸せ考えてないよ、この人!?」 「そして俺も時々おこぼれを「私のこなたに触れたらお義父さんでも容赦しませんから」ヤンデレえええぇぇぇ!? 刃物来たよ! 父さん信じられないよ! 中に人などいませんYO!?」 「かがみん頑張れー」 「しかもいつの間にか2対1?!」 「お義父さん、こなたもああ言ってる事ですし、こなたを買わせて下さい! お願いします!」 「あああ!? やっぱりかがみん頑張っちゃ駄目だったぁぁぁっ!?」 「仕方ない……これが契約書だ」 「あるの!? というか私の人権無視!?」 「ありがとうございます!」 「ちょ、ちょっと待ってよ! 人の話を……」 「これにサインして……今ならコスプレがセットで付くからさ」 「付かないよ!?」 「ネコ耳スク水は付きますか?」 「付かないってば! というか何でそんなマニアックな格好を要求してるのさ!?」 「泉かがみ……と。 サイン終わりました、お義父さん」 「いつの間に……ってそれ婚姻届じゃん! しかも何で書いた覚え無いのに私のサインがしてあるのさ!?」 「はっはっは、お父さんに不可能は無いんだよ?」 「そんなところで父親の威厳を示さないでよ!?」 「これで……こなたを……」 「あ~、かがみんや。 日本だと受理されないだろうから、それ。 ……女同士だし」 「じゃあ、オランダかドイツ辺りにでも提出してくるわ!」 「待てや日本人」 「行って来るわね~♪」 「日本語で書いてあるのに受け付けてもらえるわけないじゃん!」 ――数日後 「こなた~♪ 無事受理されたわよ~♪」 「嘘だッ!!」 「これでこなたと私は夫婦なのね♪」 「あ~、はいはい……」 「何よ、こなた。 私の事嫌いなの?」 「…………好きだけどさ」 「ふふ、それならいいじゃない♪」 「…………///」 「早速新婚旅行だけどね……」 「相変わらず根回し早いね……」 「みゆきのプライベートビーチを借りようかと思って」 「ああもう、何を狙ってるかみえみえだよ、このへんたいかがみさんめっ! 第一みゆきさんそんなの持ってたの!?」 「まあね。 ……ヌーディストビーチだけど」 「その土地何の目的で買ったのみゆきさーん!?」 「まあまあ、とにかく行くの? それとも行くの?」 「一択じゃん! ……まあ断っても連れて行かれるだろうし、行くよ」 「こなた……」 「かがみん……」 「船もチャーターしてあるわ」 「だからいちいち仕事早いんだよあんた!?」 「さあ、行きましょう♪ あなた♪」 「ちょ、引っ張らないで……って今こなたじゃなくてあなたって……というかああもう、nice boatだなあコンチクショーッ!!」 へんたいかがみさん2―了― へんたいかがみさん・番外編 「泉家のかがみです! 今から1の倍数でへんたいになります!」 「細かっ!」 「1(ハァハァ)、2(ハァハァ)、3(ハァハァ(* ´Д`*)ハァハァ)!」 「ひいいぃぃぃっ!?」 へんたいかがみさん・番外編―了― コメントフォーム 名前 コメント 変態かがみん萌え〜 -- 名無しさん (2011-04-17 10 49 15) 変態かがみんは死ねばいいと思う。かがみん=つんでれ -- 名無しさん (2010-11-28 19 00 36) グッジョブ -- 名無しさん (2010-08-23 22 22 07) うけるWWW こなたが攻めなのもいいけど かがみが攻めなのもいぃ!bb -- かがみんだいすき (2010-08-06 21 52 26) 変態かがみん キタコレ! -- ラグ (2009-02-03 16 29 26) 某ニコ動にある作品もこちらの作品も、根本的に かがみ→問答無用でこなたが大好き こなた→かがみの変態ぶりに困惑してるけど嫌じゃない ってのが前提にあるから、ニヤニヤしながら楽しんでしまうんだろうな バカップルマンセ〜! -- にゃあ (2008-10-11 03 19 34) 何気にオマケが一番受けてしまったという罠www -- 名無しさん (2008-10-10 16 26 40) ちょWWWWW かがみつよすWWWW -- 名無しさん (2008-10-06 20 45 20)
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by、佐賀県 「うげ……風邪引いた…………」 体温計の数値は38.5℃。今朝起きたら布団が丸ごとはだけていたから、多分体を冷やしてしまったのだろう。 腹の具合が悪い。熱があるとわかると急に頭も痛くなってきた気がする。大学はあるけど休むしかない。テスト近いのに、大丈夫かな。 「とにかく薬……薬……ってあれ? ないの……?」 常備薬の入った箱を漁って見たが、風邪薬が一つも入ってない。 一人暮らしでこの状況は絶望的だった。だが幸いにも歩くことが出来ないほどの重態じゃない。 自分で薬を買いに行こう。私は服を着替えて、自転車の鍵を持って外に出た。 しまった。そう思ったのは近所のコンビニに来たときだった。 よく考えればコンビニに風邪薬は置いてないのだ。脳の回転がまずいことになっているらしい、こんな初歩的なミスをするなんて、私らしくも無い。 仕方無い。帰って、薬局の開く時間まで待とう。 「あ~……頭痛い……吐き気がする……それに夏だってのに寒いわ…………」 とりあえず食べられそうなものをと思って、プリンとアイスとヨーグルトを買っておいた。しかし今はとても口にする気になれない。 家に着いて、布団に潜り込む。それから薬局の開店時間まで、ひたすら布団にくるまってう~う~とうなっていた。 ひたすら気分が悪い。死にそう。吐くものも無いだろうに吐き気が止まらない。喉も痛いし鼻も詰まる。風邪の症状がメドレーで襲い掛かってきていた。うっぷ。ちくしょう。死にそうだ。 近所のドラッグストアの開店時間になった。私は立ち上がろうとしたとたん、床に倒れ込んだ。こけた時の衝撃で吐いた、その場で床に。汚い。しかし掃除をする元気があるわけがない。 「ごほ……げほ…………」 這うようにして洗面所まで行き、口の中をゆすいだ。 それから熱を測りなおしてみた。1分後、体温計の示した数値は………… 「40.5℃…………朝より上がってるし…………」 まずい。本気でまずい。症状も目で見てわかるほど悪化している。頭が痛い。景色がぐにゃぐにゃする。 こんな状態で外に出るのは果てしなく危険だとわかっている。でも、自分で行かないと、他に薬局まで薬を買ってきてくれる人なんて…………私にはいない。 さっき床に吐いたとき、服が汚れたから着替えることにした。ひどく汗をかいたので下着も替えることにした。 辛さと、みじめさとで、私は泣きたくなった。 いや、泣いた。涙をぼろぼろこぼして泣いた。寂しい、辛い、誰か、誰か助けて。おかあさん。おとうさん。 ノスタルジーな感傷に浸ってる場合ではない。動け私の体。じゃないとやばい。今死ぬ。本気で死ぬ。昔の人は風邪が原因で普通に死んでたんだぞ。 ましてこの21世紀に風邪で死にましたなんて文明人としての恥だ。おまけに大学生がアパートで孤独死なんて洒落にならない。私は外に出て、文字通り必死で薬局を目指した。 自転車は使えない。確実に転ぶ。徒歩で行くしかなかった。 これほど孤独を痛感したことは無かった。自分がこんなに弱い存在だったと初めて知った。 そう、私は孤独なんだ。風邪を引いてなくても変わらない。私は一人。大学に入ったときからずっと、これからもずっと。 大学を出て、働き出して、どうするんだろう? きっと今と変わらない。孤独な生活が待ってるんだと思う。自分から変わろうとしないで、一体何が変わるものか。 これからも私は一人ぼっちで生きていくんだ。一人分のご飯を作って、一人で食べる。そうやって、30歳になっても、40歳になっても、ずっと一人ぼっち。そしていつか今日みたいに。本当に誰にも助けられないでアパートの一室で孤独死するんだ………… 「おーっす、どったの柊ぃ? 気分悪そうジャン」 女の声が聞こえる。誰だよ? あたしがこんなダブルで胸くそ悪い時に、そんな嬉しそうな明るい声で話しかけてくるやつは? 「………………日下部? 奇遇ね……あんた何してるの?」 ぼやっと歪んだ視界の中に、高校の頃の同級生、日下部みさおの姿があった。別々の大学に進んでからはほとんど連絡もとってなかった仲だ。それがなんで今、ここにいるのだろう? 「そりゃ柊が心配だったから来てあげたんだよ! 風邪なんだろ? もう安心していいよ。柊っちは一人じゃないからね! あたしはずっと柊の友達だよ!」 大きく開いた口から八重歯を覗かせて、屈託の無い笑顔で日下部が言った。 私が友達……、そう言ってくれるのはすごく嬉しい。涙が出そうになるほど嬉しい。 私にも確かに友人がいた。きっと彼女らが今の私を見たら、そんな風に優しい言葉をかけてくれるのだろう。そう思う。本当にそう思う。きっと彼女がここに居れば。そう言ってくれるのだろう。 「…………はいはい。もういいわよ……。黙って……。わかってるわよ…………」 目をこすり直して、もう一度前を見る。 そこには誰もいない。ただむなしく町の景色を映し出す透明な空間があるだけだった。 今度こそ私は涙を流した。嬉しくてではなく、ただ悲しくて。 「だ、大丈夫ですか……? 顔色すごく悪いですけど……」 ドラッグストアの店員、アルバイトらしき若い男性が私を見てそう言った。 私は、大丈夫です、と心にも無い言葉を返して店を後にした。買った薬はその場で栄養ドリンクと一緒に飲んだ。でもすぐに効く訳が無いのでまだ気分はすこぶる悪い。 でもこれで後は帰って寝てれば、そのうち治るだろう。そう思うと気分は楽になった。あとは帰るだけ、帰って布団に潜り込むだけでいい。私は帰路を急いだ。 しかし一つだけ問題があった。体がもう限界なのだ。おそらく熱はさっきよりもっと上がっているだろう。 下手したら42℃を超えているかもしれない。頭だけでも急いで冷やさないと本気で後遺症が残りかねない。20代のうちから将来のアルツハイマーの種を植えておくなんぞ冗談ではない。 急ごう。目の前がふらふらするから急げないけど、できるだけ早く帰るようにしよう。私は危うい足取りで家を目指して歩いた。目の前の景色がよく見えなかった。だから、前から歩いてきた男の集団にも目が行き届いていなかった。 前から歩いてきた男性に、私は思いっきり正面衝突した。 「痛っ! おうそこの女あ、どこ見て歩いとんじゃいっ!」 低い男の声が頭の中にぐわんぐわん響く。私は肩を掴まれて無理やりに振り向かされた。 目の前には男が数人、私より頭一つ大きなその男たちはどれも派手な出で立ちで、茶色に染めた髪を跳ね上げていたり、無骨な大きいピアスをぶら下げていたりと、少しまともとは違う格好をしていた。 「おらなんとか言ったらどうねっ!? ヒトに肩あぶつけといて黙って行こうっちゅう法は無かろうがっ!」 胸倉を掴み上げられ、がくがくと揺らされた。頭が痛む。何か言おうと思っても、意識が混濁していて口がうまく動かない。 「こんボケがっ! ボーっとしおってヤク中かいワレ!!」 ばっ、と急に体を投げ捨てられた。私はそのまま路肩に倒れ込んだ。男たちはニ、三言悪態をついてから去っていった。 立ち上がろうと思ったが、うまくいかない。私は立ってているのか、それとも横になっているか、よくわからなかった。 通行人たちは何も気にせず私の傍らを通り過ぎていく。むしろ心一つ近寄りたくない風に、早足で去っていくように見える。無論だれも私に心配して話しかけたりはしない。都会の人間なんてこんなものだ。逆の立場なら私だってそうしただろう。 そうだ。だから私は今ここに一人でいるんだ。誰にも気をかけない人間は、誰にも気をかけられない。そういうもの。自然の摂理だ。 思えば高校の頃の友人たちは変わり者だった。私はどれだけ彼女たちが人懐こい猫のようにじゃれ付いてきても、ずっと突き放すような冷たい態度ばかり取っていた。みんな本当はすごく私に気を使ってくれていたのかもしれない。 私はなんとか立ち上がった。だけどどこに向かって歩けばいいのだろう。一人暮らしのアパートの部屋? そこに何があるの? いくつもの月日をそこで過ごしたけど、一体何が変わった? 何も変わってない。同じ毎日の繰り返しばかりだった。 いつもそこには自分一人だけ。きっとあの部屋をビデオカメラで撮影していたら、その映像は延々と同じ景色が続いていることだろう。いや、あの部屋だけじゃない。私の回りはいつも虚無に満ちていた。一人ぼっちで過ごす毎日がずっとずっと続いていた。 楽しくも無い日々。これまでも、これからもずっと変わらない日々。そんなものに何の執着があって、私はこんなに必死で生きているんだろう? よくわからなかった。 ああ、足元がおぼつかないと自分でもわかる。ふらふらする。車の音が聞こえる。横断歩道。信号の色はよく見えない。また車の音が聞こえる。私は、ただ前に足を踏み出そうとした。 「やっほーかがみん。久しぶりだね。大学は休み? 何してるの?」 と、そこで後ろから話しかけられた。私は振り向いて、自分より頭一つ低い位置にあるその顔を見た。 こなた……? あんたこそ何してるのこんなところで? 「私は、なんか大学で『はしか』が流行ってるとかで休みになったんだよ。かがみのトコは大丈夫?」 あ~、そういやなんかニュースでやってたわね。ひょっとして、ウチの大学も今日は休みだったのかしら? だったら授業のことは気にしなくてよかったのね。 「それでアキバにでも遊びに行こうと思ってたんだけどさ。急にかがみんの顔が見たくなっちゃってねー、家まで行っても留守だったから探したんだよ?」 そう……、…………はあ……、うれしいこと言ってくれるわね……、さすが幻覚なだけあるわ…………。 「ん? 何言ってんのかがみ?」 わかってるわよ。どうせあんたも消えるんでしょ? 私に友人は確かに居た。でももういない。だから、もし目の前にひょっこり現れたとしても、それは夢であって、現実ではないんだ。 「あれ……? ひょっとしてかがみ調子悪い? なんかすっごく顔が真っ赤なんだけど」 …………こなた、こうして面と向かって言うことは最後の最後まで無かったけど、私あんたを親友だと思ってた……。 「ほへ? 何言ってんのかな、かがみん? 死亡フラグ立ってるよそのセリフ……」 いいじゃない。どうせ消えてなくなる幻なら最後まで言わせて……。 私ね。みゆきより、つかさより、他の誰よりあんたが好きだった。冷たく当たってばかりだったけど、本当はすごく好きだったのよ。惹かれてたんだと思う。自分の気持ちにどこまでも素直なあんたに。 ずっと素直になれなくてごめんね。こんな私に、ずっと優しくしてくれて、ありがとう。本当にあんたには感謝してるわ。 「ど、どどどしたのかがみ? なんかヘンだよ!? 妙に顔も熱っぽいし……私そういう系はROM専で、自ら参加するのはちょっと…………」 勘違いしないでよね……、別に私が言ってるのは、そういうアブノーマルな関係じゃあ…………。ああ、でもそれもいいかな……? だってそういう関係になっちゃえば、ずっと一緒にいられるんだもんね。 こなた…………お願い、どこにもいかないで……。私を一人にしないでよ…………………… 「あれ? かがみ? おわっ! ちょっと奥様、街中でそんな大胆な!! …………ってあれ? もしもし、かがみ……? かがみっ! わーすごい熱っ! ちょっ、しっかりしてよかがみー!」 目が覚めたら、そこは自分の部屋だった。 私、どうやって帰ってきたんだっけ? 確か薬を買いに行って、その帰り道だったはず。そこまでで記憶があやふやになってるけど………… 体を起こす。体調はだいふ回復しているようで、楽に上体をあげることができた。 ぽとり、おでこの上に乗っていたらしい濡れタオルが腹の上に落ちた。 「おー、やっと起きたねかがみ。もう夕方の5時前だよ」 「大丈夫、お姉ちゃん……? もう熱は下がった?」 「念のため今からでも病院に行って診てもらったほうが、よろしいかもしれませんね」 声が聞こえた。懐かしい声。みんなの声を電話越し以外で聴くのはずっと久しぶりだった。 でも、まるで昨日の事のように思い出せる。あの頃と変わらない。みんなの声が、姿が、そこにはあった。 「つかさ……。……みゆき。……こなた…………」 手狭なワンルームの部屋に3人が並んで立っていた。今まで自分一人でいたから、この部屋がこんなに狭かったなんて思っても見なかった。 もう頭痛もしていない。意識ははっきりしている。だからわかる。これは夢とか幻とかじゃなく、本当にみんながここにいるんだ。 「どうして……? なんでつかさたちが私の部屋にいるのよ?」 「こなちゃんがね、電話してきてくれたの。お姉ちゃんが急に倒れたから、って。それで私も大急ぎで来たんだよ」 「私も同じく、泉さんからお電話をいただいてすぐに。心配でしたが、ただの風邪だったようで、一安心です」 そうなの、迷惑かけたわね。私はそう言おうとした。迷惑だったわね。でも別に平気よこのくらい。私は別に風邪を引いたくらいで、体と心が参るほど弱い人間じゃあ…………そう言おうと思って…………。 「…………ありがとうみんな。わざわざ私のために来てくれて、本当にありがとう…………」 そう、呟いた。 ありがとう。本当にありがとう。心からそう思った。 強がってばかりだったけど、すごく寂しかった。会いたかった。みんなに。 「そ、そんな。当たり前だよ。ねえ、ゆきちゃん?」 「ええ、だって私たちは友達じゃないですか」 みゆき……、つかさ……。そっか…………。そうだよね………… 「ん~~?? 久しぶりのかがみんはなんかデレっぽくなったね~! かわいいよぉ~かがみ~ん」 「おわっ!? ちょ、なにをする! じゃれつくなこのっ!」 こなたは体を軟体動物のようにうねうねさせながら、私の頬をつんつん突っついた。 「あれ~かがみさっき言ってたよね? 私のこと親友だと思ってるんでしょ~?」 ぴしっ、私の思考回路が瞬間凍結した。 あれは、まさか、夢でも幻でもなくて、本当にこなただった……? 「ね~かがみん? 私たち親友なんだよね~、あたしのこと大好きだって言ったよね~」 「すっ! 好きとは言ったけど、大好きとまでは言って…………はっ!?」 「や~ん! かがみんに告白されちゃったー! かあいいよぉかがみ~! お持ち帰りしたいー!!」 「あっははは、こなちゃんそれ私のネタだよ~」 「あらあら、泉さんも隅に置けませんわね」 「だーっ!! 帰れお前らー! もういいから帰れーー!!!」 結局、その日はみんな夜までずっと私の部屋にいた。いつ熱がぶり返すかわからないし、心配だから、と言うことで。 夜になって、つかさとみゆきは私の部屋を後にしたが、こなたは明日も大学が休みなので泊まらせてくれと言ってきた。断ろうにも、散々世話になった手前そうは言えない。聞けば、街中で倒れた私を家までこなたが一人で運んでくれたそうだった。 しかもその後も付きっ切りで看病して、起きたときにはお粥まで作ってくれていた。これを無下に扱ってはさすがにバチが当たるかもしれないと思った。 客用の布団は一応あった。ただし今までたまに遊びに来たつかさが数回使用した程度で、ほとんど新品同様だ。それをこなたに出した。 え~かがみと一緒のお布団で寝たい~、とふざけたことを言ってきたが無視した。 「じゃ、電気消すわよ」 「うん。いいよー」 部屋の灯りを落とす。外からは街の明るさと車の行き交う音が微妙に部屋に入ってくる。それでも部屋は静かだった。いつも通りの私の部屋の静けさだった。 「…………あのさ、かがみ」 「……なによ」 ふと、こなたが話しかけてきた。 「ん~、いや、何でもナインだけどね…………」 こなたはそう言って口をつぐんだ。私は黙っていた。すると、こなたがまた話し出した。 「かがみがさ……もし寂しかったら、いつでも私に電話していいからね…………」 「………………なに言ってんのよ……、別に、寂しくなんかないわよ…………」 「ん~……、じゃあ、寂しくなくてもいいから、ちょっとでも私のことが頭に浮かんだらさ、電話とかメールしてね…………」 「…………………………わかったわよ。しょうがないわね…………。でもあんた、高校の頃は携帯にかけても全然出なかったじゃない…………」 「今はちゃんと持ち歩いてるよ。だからね……今日みたいな時も、電話してくれたら、私どんなに忙しくても、絶対かがみのこと助けに来るから。……私がそうしたいから…………」 それっきり、私たちは二人とも何も言わなかった。 聞こえてないわよね……? いくらなんでも……ひぐっ……こんなの恥ずかしすぎるわよ…………うぐっ……優しくされたのが嬉しくて、泣いちゃうなんて………… 枕に涙の粒が落ちる。頭まで布団をかぶって、嗚咽を殺して私はひっそりと泣き続けた。 ありがとう。こなた。本当にありがとう。私は心の中で何度もそう繰り返した。 あの頃の夢をよく見た。 高校生の私。制服を着た私。 クラスの違う友達と一緒に、なんてことない世間話をしていた。 つかさはいつも笑っている。こなたはまたバカなことを言っている。みゆきも天然な事をよく口にする。 私はいつも、あの頃の夢ばかり見ていた。あの頃は楽しかった。あの頃に戻りたかった。 だから目が覚めて、薄暗い部屋の天井を見るたびに泣きたくなった。楽しい夢の世界から、一人ぼっちのいつもの自分に戻ってしまうから。 夢の続きを見ていたくて、枕に顔をうずめた。でも夢は夢。いつか終わる。終わったらまた一人。それがすごく嫌で嫌でしょうがなかった。 でも頑張ってみよう。そう思った。 あの頃の明るく輝く日々を、もう一度作ってみよう。あの頃は、私が黙っていても、つかさが、こなたが、みゆきが周りを回って私を照らしていた。私が黙って、冷たく澄ましてても、みんなが明るく楽しませてくれていた。 それが私にも出来るかもしれない。いや、みんなやっていることなんだ。だから私にもきっと出来る。 ずっと諦めてた。でも私はもう一人ぼっちは嫌だから。私も明るく輝いてみよう。精一杯努力してみよう。 幸運の星になれるよ。私もきっと。 完
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携帯電話解約しようかしら もう鳴らないし 携帯「待って!解約しないで!」 かがみ「だって電話もメールも来ないのよ」 携帯「わかりました。なんとか着信しましょう」 かがみ「なんとか……って」 携帯「ピョロロロロ〜」 かがみ「あら、着信!?電話?メール?こなた?つかさ?」 携帯「残念、アラームですた。プゲラ」 かがみ「チキショー」 ガシャ 携帯「………」 携帯「ぷはー。壊れたかと思った」 かがみ「今度馬鹿にしたらホントに壊すわよ」 携帯「まぁまぁ。いま床に叩き付けられていい案が閃いたのだ」 かがみ「な、なによぉ。聞くだけ聞くわ。言ってみなさい」 携帯「街中で他人が携帯使ってるのを見ると妬ましいでしょう。パルパルパル」 かがみ「べ、べつに。(ちくしょう当たってるわ)」 携帯「だからかがみさんが街を歩いている時、携帯を鳴らしてあげます。」 かがみ「?」 携帯「そしてかがみさんが通話するフリをすれば、誰もがぼっちとは思わないでしょう」 かがみ「虚しいわよ。虚し過ぎる」 携帯「じゃあ、やめますか?」 かがみ「やるわよ。やるに決まってるでしょ」 携帯「そ、そうですか……」 街中。どいつもこいつも携帯で話したりいじったり。 携帯「ピョロロロロ」 かがみ「(大声で)あら、電話だわ。誰かしら。」 かがみ「もしもし。」 携帯「……」 かがみ「はい、あ、お久しぶり」 携帯「……」 かがみ「あら今どこに……まあ!」 携帯「なあ……」 かがみ「(急に小声で)な、何よ」 携帯「虚しくないかい?ププ」 かがみ「だから最初に言ったでしょ!!」 かがみ「はあ。ヒマだわ」 携帯「暇ならしりとりしましょうぜ。僕からいくよ。ぼっち」 かがみ「ち、ち、ってやらないわよ」 携帯「っていうか暇な時こそ僕を使って誰かと……」かがみ「だからその相手がいないのよ」 携帯「でもアドレス帳には沢山のお友達が登録されてるじゃん」 かがみ「友達……か。」 携帯「違うんですか。特にひと昔前は『イズミコナタ』さんと言う方とは結構通話されてるじゃないですか」 かがみ「確かに高校時代はよく喋ったけど。でもいつも私からかけてばかりで彼女からかかってくることは無かったわ。」 携帯「久しぶりにかけてみたらどうです?またはメイル。」 かがみ「いいよ。もうずっと話してないし。多分他の人と仲良くやってりわ。私なんか電話しても迷惑がられるだけよ。わかるわ」 携帯「でも話したい、いや会いたいんじゃないの?」 かがみ「そりゃそうだけど……」 携帯「そうかそうか……よし、任せろ」 かがみ「え?」 携帯「ピカーーーッ」 かがみ「うお眩しっ」 かがみ「ん……あれ?……夢?おーい……」 携帯「……」 かがみ「そうだよな。携帯が喋るわけないか。ぼっちスレ恒例夢オチか」 携帯「ブブブブブ……」 かがみ「ひっ?びっくりした!ってこなた?」 かがみ「もしもし……」 こなた「やふー。久しぶりだのう〜。元気かい?いとしのかがみん」 かがみ「ど、どうしたの?久しぶりじゃないの」 こなた「へ?何言ってんの!」 かがみ「え?」 こなた「さっき、『たまには会おう』ってメールくれたのかがみんじゃないのさ」 かがみ「???(まさか?)」 こなた「あれ?もしかして間違えて送ったのかな?」 かがみ「え、いや、間違いないよ!あんたに送ったのよ。さ、最近会ってないからたまにはって。あ、でも忙しいなら……」 こなた「とんでもない。かがみんのお誘いを断るわけにはいかないよ。っていうかずっと電話もメールも来ないから嫌われちゃったのかと思ってたよ……」 かがみ「えっ? そ、そんなことないわよ!」 こなた「私はいつでもいいよ。会ってくれるならかがみんの都合に合わせるよ!」 かがみ「あ、ありが、とう。じゃあさ……今度のに、日曜日に……」 こなた「うん。うん。いいよ。ん?どうしたの?ねえ。な、泣いてるの……?」
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師走の語源は、お師匠のお坊さんがお経をあちこちであげる為に、走り回る程忙しかった所から取られたそうだ。 みゆきさんがそれっぽい事を言っていたから、多分それで間違いないのだろう。 実際、12月っていうのは期末試験があって、クリスマスイベントやら年末イベントやらをこなして、最後に有明と、私にとってものんびりとしていられない一ヶ月間ではある。 来週から始まる試験さえ終わってしまえば、後は楽しいイベントを指折り数えて待つだけだ。 それなのに…。今の私にとっては、どんなに楽しそうなイベントも、どこか色褪せたようにしか映らなかった。 「ふとしたことで~かがみのいない日常~」 「おはよう、こなちゃん」 「あ、おはよー。つかさ」 朝、教室で私達は今日最初の挨拶を交わす。 私がかがみと会わないように電車を一本ずらして登校するようになってから、これが新たな日課となっている。 あの屋上での一件の後も、つかさとみゆきさんは、それまでと変わらない態度で私に接してきてくれていた。 だから、この教室の中だけは、今までと変わらない日常が流れ続けている。 その事が、今の私にとっては、言葉では言い尽くせないぐらいに有難かった。 昼休み、一つの机に三つのお弁当箱が並ぶ。 最近は、教室の外に出るのにも神経を使うから、チョココロネを買いに購買まで行く事もやめてしまった。 私の座席の真正面に、誰も居ない空きスペースが鎮座する。 その不自然さを誤魔化すように、今日も私は饒舌に二人に話題を振り続ける。 「――でさ、またそのバグを直す修正パッチが4ギガバイトもあってね、あれを見た時はゲーム本編をプレイした時よりも鬱になったよ……」 「へぇ、そうだったんだ~」 「それは大変でしたね」 数分近くに及んだ、私の悲喜劇のオチがようやく付いたものの、二人の反応は思ったよりも薄かった。 やっぱり、この二人にエロゲの話は通じないか……。 また別の話題を振ろうと思い、私が一呼吸を入れたその瞬間、この憩いの時間をぶち壊すかのように、携帯電話の着信メロディ鳴り響く。 ……この着メロは、つかさの携帯メールだ。 「ごめん、こなちゃん。私、ちょっと隣のクラスまで行って来るね」 携帯を開いて、メールの内容を確認したつかさは、申し訳無さそうに私にそう告げてきた。 「あ、うん。分かった…」 用事の意図を理解した私が素直にそれに応じると、つかさは自分の弁当箱に一度蓋をして、教室の外へと駆け出していった。 …とまぁ、このように、つかさとみゆきさんの二人がかがみと会う時は、私に配慮して、私の居ない場所で会うようになっていた。 一人が抜けた事で、すっかり別の話題を振る機会を逸してしまい、残った私とみゆきさんの間に微妙な空気が流れる。 「こなたさん」 この状況を何の話題で打開しようかと私が思案している所に、珍しくみゆきさんの方から私に話しかけてきた。 「なに?」 「…かがみさんが居ないのは、やっぱり寂しいですか?」 「……ま、まぁ、寂しくないって言ったら嘘にはなるかな…。でも、これはこれで悪くは無いなって思ってるよ」 「そうですか……」 今の言葉は半分は本音で、残りの半分は嘘だ。 本当はかがみと仲直りしたいし、また四人で他愛の無い話をしたり、カラオケに行ったりもしたい。 でも、仮に私が謝って、かがみがそれを許してくれて、拗れた関係が元に戻ったとしても、あの時の事が無かった事になる訳じゃない。 …それに、私のこの胸に秘めた感情はどうすれば良い? この想いの全てをさらけ出しても、あるいはこの感情を隠し続けても、私達にとって良くない結果になるのは分かり切っている。 結局、どう足掻いたって、私が望んでいたそれまでの“日常”は戻っては来ないんだ。 だったら、このままの状態で現状を維持していく方が良い。 何もしなければ、もう誰も傷ついたりしないんだしさ……。 § 「――と、ここまでが今回のテスト範囲になるっちゅうわけや。今回は範囲が多いさかい、特別サービスで大まかなまとめプリントを用意したんやけど……って、あかん! プリント忘れてきてもうた。泉ぃ、授業終わったら、職員室まで取りに来い」 「ちょっ、なんで私なんですか!?」 「テスト直前の最後の授業や言うのに、一人だけ居眠りしとった罰や~。ほな、今日はここまで!」 「起立、礼っ!」 号令が終わると同時に、これまたタイミング良くチャイムが鳴ったかと思うと、席が近いつかさが私に駆け寄ってきた。 「災難だったね、こなちゃん」 「ううっ、昼休み明けの授業はいつもこれだよ…」 「コラ、泉。ボケっとしとらんと早よ付いて来い!」 「はいはい、今行きますよ~!」 なんや、その漫画なんかで良く見かける面倒臭そうな受け答えは、等と、今日は妙に私に絡んでくる黒井先生のツッコミを受け流しながら、私は職員室へと付いて行った。 § 職員室で居眠りしていた事に対する軽いお説教を受け、A4サイズのプリントの束を受け取った私。 そして、教室に戻ろうとしたその視界に飛び込んで来たのは、遠くからこちらに近づいてくる印象的な薄紫のツインテールをした少女の姿だった。 かがみがこっちに向かって歩いてきてる――。 遭遇を避けるために遠回りしようかと思ったけど、10分間という短い休み時間の間に、これから教室に戻ってプリントを配る時間を考慮すれば、それも出来ず、このままかがみとすれ違う事はどうしても避けられない。 そう判断した私がとっさにとった行動は、顔を伏せ、かがみの横を気付かないフリをしながら通り過ぎる事だった。 張り詰めた緊張感、逃げ出したい気持ちを必死で抑え、束になったプリントの内容を凝視しながら、私はゆっくりと歩を進める。 周囲の喧騒とは裏腹に、私とかがみとを隔てた空間には、静かな足音が今にも聞こえてくるんじゃないかというくらいに何の音も跳ねてこない。 かがみとすれ違う。 わずか1秒にも満たない交錯。 そして、そのまま通り過ぎるハズのかがみの足がピタリと止まった。 …次の瞬間、私は全力で走っていた。 後ろからかがみの声が聞こえたような気がする。 でも、もう振り向けない。 渡り廊下を抜け、折り返し階段の踊り場まで来たところで、ようやく私は後ろを振り返った。 …どうやら、かがみは追って来ていないようだ。 それを確認してようやく私は足を止めたのだった。 捩れた跡が残ってしまったプリント用紙を抱きかかえながら、私はしばらく動く事が出来なかった。 頭をハンマーで殴られたような気分だった…。 ずっと私を拒絶したままだと思っていたかがみが、私に何らかの接触を試みようとして来た事に。 その接触を私自身が拒絶した事に。 その選択肢を選んだ事に、心のどこかで安堵をしている自分自身が居た事に――。 あの日から、間もなく1ヶ月が経とうとしていた。 こなたのいない日常へ コメントフォーム 名前 コメント (T ^ T)b -- 名無しさん (2023-06-22 07 30 30) 続きが気になります。このまま卒業しちゃうって事はないでしょうが…(ありえるかもしれないけど) 2人はくっつくのか?それとも恋心を吹っ切るのか!? どんな事になるのか今後の展開が楽しみです。 -- 名無しさん (2009-02-25 15 48 48) 投票ボタン(web拍手の感覚でご利用ください)
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玄関のチャイムを鳴らすとすぐに、「いらっしゃい」という言葉と共に扉が開いた。 私にとっては、もはや慣れ親しんだ場所で、友人の家に上がりこむときの特有の高揚感というものは感じられなかった。 「ハッピーバースデー」 と、お決まりの文句が私の第一声だった。親しい仲に改めて誕生日を祝うというのはどうも小っ恥ずかしく、 ちょっとした冗談も思わず添えてしまったのだが。 「お誕生日おめでとうございます」 一緒に来たクラスメイトもお決まりの挨拶をした。普段どおり礼儀正しく、なのに初々しく。 「おお、サンキュー」 ほら、そうしたらさっき私の冗談で怒っていた顔が、ふわりと柔らかくなって、私には滅多に見せてくれない 可愛らしい笑顔を隣に向けてしまうのだ。 こういうことになるのは分かっているのに……私はいつも素直になれないのだ。 目の前で微笑む私の大好きな人は、しかしその笑みが私に注がれることはなく、それに嫉妬してしまう自分が 本当に嫌になる。 「これ、つまらない物ですが」 ドロドロとした嫉妬にも気付かず、やんわりとした微笑を讃えながら、彼女は更にプレゼントの入った紙袋を手渡した。 あまり表情は変らなかったが、しかしいつも見つめている私には分かってしまった。彼女からのプレゼントに 本当に喜んでいることを。 そして私はまた彼女を恨めしくまた羨ましく思ってしまう。 ドロドロ。ドロドロ。ドロドロ。どす黒く、粘性の強い溶岩が体の中を流れていくような感覚。強い、独占欲が、 私を、支配して── 「……ッ」 冷や汗がつーっと流れた。また、やってしまったと思った。 私はそんな邪まな感情を拭い去ろうと、平静を装ってプレゼントを渡した。 やはり、あまり喜んではもらえなかった。私の想い人は、センスや趣味が私とはまるで違うのだ。 いや、それはきっと言い訳。勇気のない自分への言い訳。 本当はもっと別のものを買ってきていたのに、結局渡す勇気がなかったのだ。 部屋に上がらせてもらった私達は、愛すべき人の妹がつくったクッキーを肴に話に花を咲かせていた。 だけど私は、クッキーを食べてばかりいた。彼女の方ばかり見て話すのにまた嫉妬していたからだ。 なのに、あの人に『他人の誕生日なのだから遠慮しろ』と言われてしまった。 ああ、まったく私の行動は裏目に出てしまう。好かれたいのに、そのせいで嫌われてしまいそうなジレンマ。むしろ恐怖。 でも私はやっぱり意気地なしだから「美味しいからね」などとはぐらかす。 だけど私は一瞬手を止めてしまった。今回は自分も一緒にそのクッキーを作った、などといわれてしまったのだから。 体が、顔が火照るのが分かる。頬が高潮しているのかもしれない。 それはそう、ごく自然な反応。だって、家事が得意というわけでもないのに、私のために作ってくれたかも 知れないクッキー。 ・・・・・・・・・・・・ そう、作ってくれたかも知れないクッキー。本当は彼女のために作ったのかもしれない。 「どうしたの?」 またドロドロしたものがこみ上げる。私は咄嗟にごまかすことしか出来なかった。 「そう聞くと、美味しいのとそうじゃないのがある気がするから不思議だよね」 だって、あなたが作ってくれたものに叶うものなどないのだから。 「なんだと!」 また怒らせてしまった。 そうやって憎まれ口を叩いてばかりでその日は終わる──はずだった。 「じゃあ、私はこれで失礼しますね」 おっとりとした足取りと口調で彼女は退室した。 正直、ほっとした。最近彼女といると、嫌な感情ばかり覚えていたから。 「私も夕飯の準備してくるね」 妹もそういって出て行った。 気まずい。お祭りが終わった時の余韻と、やるせなさが混ざったのと同じ感じがする。そして何より、2人きり。 本当はもっと一緒にいたかったけど、その空気に耐えられず、私も帰ることにした。 「じゃあ、私も帰るね」 なのに、私は腕を掴まれた。 「え?」 ドキドキした。私の腕を掴む、その手を通して、鼓動が伝わるんじゃないかと思うぐらいに。 「その……送ってくから」 「ど、どうしたの。珍しいね。というか初めてじゃない?」 多分そんなようなことを言ったと思う。口早に言った台詞は、あまり考えずに言ったので覚えていないのだ。 あっという間に家についてしまった。 始終ドキマギしっぱなしだった私にとっては数分の出来事に思えた。 ガチャッという音をたてて、カギが開いた。 「それじゃ、さよ──」 うなら、と続けようと後ろを振り返り、私は瞬間固まってしまった。 「…………」 ・・ そこには、いつの間にか髪を下ろした愛おしい少女がいたのだから。 「あのさ、私ね、誕生日に言おうって決めてたんだ」 彼女が、言葉を紡ぐ。 「私……貴女の事が好きなの。 好きだから照れ隠しに怒って見せたし、好きだから一緒のクラスになりたいと思ったし、好きだから いつも一緒にお弁当を食べてたの!!」 狂おしいほど愛おしい。だけど届かないところにいたはずの彼女が、そんなことを言ったのだ。 もう、この気持ちを言葉にすることなど不可能に違いない。私はこんな気持ちを表す言葉を知らない。 「私、、、もぉ。私も、好き。大好きぃ」 「う、わ、ちょっと、なんで泣くのよ」 「だって、だって、だって」 嬉しさで涙が出るなんて本当にあるんだ、と思った。 「もお、仕方ないな」 そういって彼女は私をそっと包み込んでくれた。 彼女の手が、腕が、体が、暖かい。丁度彼女の胸の辺りに私の頭が、トンと乗った。 「ぅ……ぐしゅ」 「ほらほら、よしよし」 「うん……」 そっと、そおっと、彼女の手が私の髪を梳いていく。 まるで髪の毛の一本一本まで、彼女に染められていくようだった。 小一時間程たった頃だろうか。ポツリ、と呟いた。 「あたしもう帰らなきゃ」 「ヤダ」 「いや、ヤダって」 「ヤダもん」 もっともっと、こうしていたかった。 きっと一日中こうしていても足りないと思うのに、今だけなんて、耐え切れない。 「今日家に誰もいないから、泊まっていって」 「……わかったわ。まったく、こんな甘えんぼさんだったなんて」 私はその日最高の笑みを浮かべた。 とりあえず戸棚にあった紅茶でもてなすことにした。 今こうして私の部屋に一緒にいること。それだけだったら今まで何度かあったことだけど、今では 私達の関係は全く一転している。 それがとても不思議で、大切で、奇跡のようで、信じられなくて、夢を見ているような私がいた。 「えへへ」 自然と、頬の筋肉が緩む。 「あのさ、本当は誕生日プレゼント、別に用意してあったんだ」 私は、綺麗にラッピングされた小さな箱を渡した。 彼女は、しゅるしゅると紐を解き、箱を開けた。 「コレって……指輪?」 「うん。その、恥ずかしくて渡せなかったんだ」 私とあなたの指輪ですだなんて、言えるわけがなかった。でも今なら言えるから。 「ありがと。ねぇ、目、つむって」 「え、あ、うん」 指が触れているのが分かった。 もしかして、この感触は、という淡い期待が胸を満たす。 「目、開けていいよ」 ゆっくりと閉じていた瞼を開けると、私の左手の薬指に、指輪があった。 「こ、これ……」 「もらったプレゼントをどうするかは私の勝手でしょ?だから、これを私達の婚約指輪にしましょ」 「うっ、うぅ」 「ああん、もう。また泣く」 感無量とはこのことだった。もう、戻れない。私はこの人のことを、本当に愛しているんだと実感した。 そしてもっと、愛を感じたいと思ったのだ。 「ごろぉん」 私はもっと甘えたくて、その健康的な太ももの上に頭を乗せてはにかんだ。 「も、もう、何なのよ」 抗議を述べる顔が、少し赤くなっているのが嬉しかった。 だからなのか、私はとてもいい事を思いついてしまった。きっととてつもなく甘く、淫靡なこと。 「キス、して」 一瞬彼女はびっくりした顔をして、 「いいよ」 と、顔を近づけた。 勿論、唇を合わせるだけで終わるわけもなく、私達はボーっとした頭のまま、互いに舌をねじ込ませていった。 「んっ、くちゅくちゅ」 目の前の可愛らしい目が潤み、とろんとしていた。 「んっ、ぁっ」 そして左手が伸び、私のスカートを捲り、 「私、こなたが欲しい」 「ん……かがみになら。ううん。奪って、かがみ」 そしてその日、私達は初めて肌を合わせた。 「おーっす。こなた」 私達の関係のことはまだ誰も知らない。少なくとも、つかさにはいつか絶対に言わなきゃならないと思う。 だけど、同性愛というのは社会的バッシングを受けやすいものの一つだ。 慎重に、進めていきたい。かがみとの仲を。 「かぁがみぃ~」 でもやっぱり、私は甘えずにはいられない。 2人きりでない時でも、私達の距離は少しだけ変わった。 「ちょっと、くすぐったいって」 人前でベタベタすることも少なくない。 「かがみん、いい匂い~」 私達は大変な道を選んでしまったと思う。でも絶対に後悔はしない。 「嗅ぐな、恥ずかしい!」 これからかがみと一緒に歩んでいけるのだから。 コメントフォーム 名前 コメント GJ! -- 名無しさん (2022-12-16 01 43 50) ナイス! -- 名無しさん (2021-03-22 00 50 12) 作者です。随分久しぶりにここに来ましたが、未だに感想を書き込んでくれている人がいるようで、幸せで胸が一杯です。 本当に有難うございます。 今はSSを書く機会もめっきり減っていますが、それでも少しずつ書いています。また機会があれば、こな×かがのSSも書きたいです。 -- 1-636 (2012-11-26 02 32 33) いい百合ですね♪ -- かがみんラブ (2012-09-20 12 17 08) ↓レズじゃなくて、百合って言って下さい( *`ω´) φ_ -- 名無しさん (2011-02-23 19 55 40) レズ萌えー// -- 名無しさん (2010-08-22 22 19 39) wwwwwwwwwwwwwwwwwwww -- 名無しさん (2010-08-11 20 33 04) お幸せに… -- 名無しさん (2010-06-17 17 56 45) 二人で幸せを勝ち取ってくださいっ!! -- 名無しさん (2010-04-25 17 21 35) 4話のあの数分間の描写からここまでふくらませるとは・・・ ゆっくり味わせていただきました -- 名無しさん (2009-11-08 01 13 17) 2人とも・・かっかわいすぎる・・ -- 名無しさん (2009-03-19 13 11 54) 細かい心理描写にドキドキさせられました。 作者GJ!! -- (2009-03-19 12 32 30) むう…この感動と言うか何かを表せない自分の文才が恨めしいな… とにかくすごく良かったですGJです! -- 名無しさん (2008-06-18 13 41 08) 水竜の上ビレ -- 名無しさん (2008-03-24 17 47 43)
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「かがみん~」 学校も休みの週末、私はこなたの家に来ている。 「かがみんかがみん~」 今日はこなたの家ににお泊まりだ。しかも私一人だけ。だってそれは… 「かがみんかがみんかがみん~」 私たちが付き合ってからの一週間記念日だからなのだ~!えへへ…あ、いや、べ、別にノロケてるわけじゃないんだからね! 「かがみんかがみんかがみんかがみん~」 で、今お風呂あがってこなたの部屋にいるのね。これから寝ようかなってとこ。二人っきりで。二人…二人だけの…夜…。 「かがみんってば~!」 「ふぇあ!こ、こなた?」 「もぉ~、かがみんってばずっと呼んでたのに無視して~」「ご、ごめん。」 「赤い顔してボ~っとしてどしたのさ?それに時々ニヤニヤしたりして…」 顔が真っ赤になる。やばい、変なトコ見られてた? 「もしかして私との変な妄想してたのカナ?カナ?かがみんのえっちぃ~」 「なっ!ち、ちがうわよ!!変なこと言うなっ!」 「うそつきぃ~、かがみんは顔にも態度にも出るから分かりやすいな~。やっぱツンデレだねっ!」「ツンデレ言うなぁっ!!」 ホントにこなたには全て見透かされてるような気がする。いつもいじられてばっかり。まあ、そんなのも好き…嫌いじゃないけどね。 「ところでかがみんや、なにか気付かないかね?」 「え?」 そういえばさっきからこなたが異様に近くにいるような… 「ふおおおっ!!」私はつい大声をあげてしまった。よく見ればこなたは白いレースの服に身を包み、私の肩にしがみついている。 「ど、どうしたのよその格好!いつのまにそんな…」 「えへへ…だってかがみんとの初めての夜だしさ~。ちょっと気合い入れて。どうかな?」 えええええ~!!!そ、それはどういうことですかこなたさん!それはそういうことなの?そういうことよね? そういうことってそういうことでそういうことってことは…って頭が真っ白に… 「お~い、かがみ~ん。あっち行くな~」 「かっ、かわいい…わよ。」 「えっ?」 「だ、だから可愛いって言ったの!」 一瞬間が空き、こなたの顔が赤くなりうつむく。しかしすぐにこなたの口がいつものニマニマ口になる。 「んふ~、今日はやけに素直だね~。かがみんのデレ萌え~」 「ま、またあんたはそんなこと言って!」 「じゃあ、いいよね?」 「へ?な、なにが?」 「私のこの服の意味…分かるよね…?」ふええええ!?それってまさか誘ってるわけなの?そ、そんなだってまだ心の準備が… そ、そりゃあ私もこなたが好きだけど、まだ付き合って一週間だし… でもでも、私もちょっとは期待してなかったわけでもないわけでもないけど…ってまた頭が真っ白に… 「かがみ…言わなくても心の声まるわかりだよ?いいよね?私かがみが大好きだから…」 後ろから私を抱きしめながらそう囁く。こなたの暖かい吐息が耳にかかる。…もうダメだ、大好きな人にこんなことされたら理性を保つことはできない。こなた…優しくしてよね。そう覚悟を決めた時― 「はいっ!じゃあおやすみっ!」 「へぇあ?」 こなたは私を抱きかかえるとこなたのベッドに飛び乗った。そしてそのまま電気を消し、私たちの身体に毛布をかける。 「かがみんと一緒に寝れるなんて幸せだよ~」 「あ、あのこなた?これはどういう…」「え、なにが?」 「だ、だってさっき"いいよね?"って…」 「うん、一緒に寝るのいいよねって聞いたの。」 「ええ!だってその服の意味って…」 「言ったじゃん、かがみと一緒に寝るの初めてだから気合い入れたんだよ。」 「…そ、そういう意味だったんだ。」 「あれあれ~?もしかしてかがみん、またえっちなこと考えてたのかな~??」「ち、ちがっ…そういうわけじゃ…」 あ~、言い訳してもこなたには全てつつぬけなんだろうな。私の顔真っ赤になってるだろう。またこなたに振り回されていじられてる。 なんか悔しいな~、いつか絶対あんたをいじり返してやるんだから! そう心に決意しながら私たちは眠りについた。お互い気持ちを確かめ合う、優しい口づけを交わして。 コメントフォーム 名前 コメント GJ!!(≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-02-24 23 44 03) かがみ妄想外伝 -- かがみんラブ (2012-09-26 01 33 21)
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『かがみ開きすぎっ!』 「よ~し、これで準備はいいかな?ゆーちゃんはお泊りで、お父さんはおっぱらったし!」 今日は1月11日、私のとって欠かせない一日なのだ! なんと言っても、鏡開きだからね~。受験前でも外せないイベントだよ! なぜかって言うと、それはもちろん恋人の… ピンポーン 「こなたー、来たわよー!」 噂をするとなんとやらだネ! 「やほ~、かがみん!いらっしゃ~い。5時ジャストとは、さすがだネ。」 「お邪魔しまーす。って、今の三枝か!」 「おぉ、鋭い突っ込みをありがと~。でも前にやってた、つかさのパクリだけどね。」 「つかさ…やったのか…。」 とりあえず私の部屋に移動して、テーブルを挟んで座る。 先に飲み物とコップだけを用意しておく。やっぱ取って置きは最後にね♪ 「それにしても、鏡開きだから私を呼ぶなんて、あんたらしいわね。」 「だってかがみびらきだよ?!かがみのためにあるとしか思えないじゃん!」 「いや、名前は含まれてるけど、それは関係ないでしょ…。」 「細かいことは気にしないでよ、かがみ。それにたまには息抜きも必要じゃん?」 「はぁ…あんた受験前だからって、遊んでばかりじゃないでしょうね?」 うぅっ、何かかがみが冷たい…。一応最近は真面目に勉強してるのになぁ。 「ちゃんとやってるよー。むしろ、この間黒井先生にネトゲ入らなさ過ぎって、怒られたんだからネ?」 「それは…教師として冗談でもそれを言うのはどうなのかしら…。」 確かにここ数ヶ月全くと言っていいほどログインしてない。 たまにギルドの仲間に連絡取るために入るけど、それも30分ぐらいの雑談して落ちている。 以前の私からしたらありえないことだけど、やっぱ目標があると変わるもんだね~。 「まったくだよね、我慢してるのにわざわざ言ってくるなんてさ!」 「にしても、良く我慢してるわね。正月あたりからゲーム機ほとんど封印したんでしょ?」 「一応DSだけは手元に残してあるけど、あとはお父さんに預かってもらってるね。」 (やっぱり〈かがみと同じ大学に行く〉っていう重要な目標があるからね~♪) そう、私は以前に志望していた大学を変えて、かがみと同じ大学に変更した。 もちろんレベルは上がるけど、文学部狙いだから希望はある。これでも作家の娘だからね。 ゲームとか漫画、それにかがみに借りたラノベからも知識を得てるから、伊達じゃないヨ。 「いや、残すなよ。全く、大学行けないとかになったら、どうするつもりよ?」 「大丈夫、大丈夫。そしたら、かがみの嫁として生活するからさ♪」 「んなっ?!と、とにかく頑張りなさいよ!私も全力を尽くすから、落ちたら承知しないわよ!」 「ぐふふっ、照れてる照れてる♪かがみのためなら何でも出来るよ~」 「は、恥ずかしい台詞禁止!まったく…、私を弄るために呼んだわけ?」 「素直じゃないなぁ、かがみん。かがみも私に会いたかったくせに~。」 「うっ。そ、それは…当たり前でしょ…。」 真っ赤になって俯いてるのとか、もう可愛すぎだよ、かがみ~。 アニメとかゲームにもツンデレキャラっているけど、誰もかがみには敵わないヨ。 ああ~、もう駄目!我慢できないヨ! 「かがみ~!!(ギュ~~)」 「きゃあ!ちょ、ちょっといきなり抱きつかないでよ!く、苦しいって…」 さすがに強く抱きしめすぎたかなと思い、若干力を弱める。 「いやぁ、ごめんごめん、かがみがあまりにも可愛くてつい~。」 「だ、だから恥ずかしい台詞禁止って言ったでしょ!」 「だってあんな表情見せられたら、たまんないよ。大好きだよ、かがみん♪」 「わ、分かってるわよ。…私も大好きよ、こなた。」 取って置きの言葉でかがみは真っ赤に染まってる。私もちょっと紅いカナ? ちょっと照れるけど、やっぱり幸せだって感じるよね~。 5分、いや10分ぐらい抱き合って、お互いに自然と身を離した。 こういうところも私達って歩調というか、リズムが合うんだよネ。 その後、私は夕飯の準備を始めた。と言っても大半は出来てるんだけどね。 「はい、かがみん。デミグラスオムライスだヨ。チーズはお好みでかけてね。」 「へぇ、美味しそうじゃない。それに香りもすっごくいいわね。」 「最近覚えたメニューだけど、結構自信あるよ~。先に、熱いうちに食べなよ。」 「そう?じゃあ遠慮なく、いただきま~す。」 かがみが一口食べる。上手く出来てるとは思うけど、緊張の一瞬。 「…うん!卵がふんわりしてて、デミグラスソースの味も濃いわけじゃないけど、深いわね。こなた、これ凄く美味しいよ!」 「ありがと、かがみん♪いやぁ、色々研究した甲斐があったよ~。」 このオムライスに限らず、私は前以上に料理の勉強をしていたりする。 それに加えて、かがみの好みの研究もしてる。色々つかさに聞いたりしてね。 やっぱ、かがみに出す一品一品は、やっぱり自信作を出したいもんね。 「でも、さすがこなたね。…私も練習してるけど、中々上手くいかないわ…。」 「いいんだよ、かがみ。これからずっと作ってあげるからさ♪」 「な、な、なっ!?」 「何で驚くのさ?ずっと、私と一緒にいてくれるんじゃないの…?」 「そ、そうだけど、じ、じゃなくて、ああ、いあ、や、ああの、えー、ふあっ」 もはや言ってる事が意味不明だ。わざと寂しく言ってみたけど、威力が強すぎたかな? でも、ここまで来ると弄り倒したい気分だネ……あ、いいこと思いついた♪ 「ほら、早く食べないと冷めちゃうよ、あ・な・た♪」 「ーーっ?!?!?!」 う~ん、これは再起不能かな?ちょっとやり過ぎたみたいだネ。 でも、将来的にはこんな感じになりたいかな?とりあえず、かがみを正気にしないと。 「かがみ~、大丈夫?」 「……い、いきなり、何を言い出すのよ!」 「いやー、この方が雰囲気出るかなぁって。将来のことを妄想でもしちゃったかなぁ?」 「う、うるさい!!大体、食事中に…」 「早く食べないと冷めちゃうから、食べなよかがみん。」 「もう、誰のせいだと…ブツブツ。」 それでも顔は赤いまま、もくもくと食べるかがみだった。 ☆★☆ 「ふぅ、ご馳走様!いやぁ、美味しかったわ。それにしても、サラダ一つでも随分変わるのね。」 「野菜の切り方とか組み合わせもあるけど、ドレッシングとかも若干アレンジしてるからネ。」 「そうなんだ。ただ野菜を切って、盛るだけだと思ってたけど、色々あるのね~。」 「まぁ、そういうのは経験かな?伊達に数年間、泉家の家事を担当してないヨ。実際はお父さんも作ったりするし、ゆーちゃんが来たからさらに回数は減ったけどね。」 お父さんはなんだかんだで料理が結構上手い。 いつもお母さんと一緒に作ってたらしいし、最初はお父さんがお母さんに教えてたらしい。 ゆーちゃんはまだ上達中だけど、飲み込みが早いから、今では一通り作れるようにはなってる。 「ふと思ったけど、あんたっていつも私のこと嫁って言ってるけど、あんたの方がよっぽどお嫁さんみたいじゃないのよ。料理を始めとする家事は得意だし、私より背も低いしね。」 「うぐっ…。い、いやぁ、そこは体系的にかがみの方こそ、嫁じゃないかなー。」 「婿というよりおっさんだ、その発言は。別にいいじゃない、どっちだって。」 「いや、良くないのだよ!将来的にどっちがどっちかは重要であってだね…。」 「だったら今はいいじゃない。私から言い出したことだけど、気になった程度だから。」 「むぅっ…。」 曖昧に終わったけど、いつかこれには決着をつけなければ!そうじゃないと、私の立場が! …って、今はまだいっかな~。まだ焦らなくても平気…だよネ? 「んじゃあ、デザートといきましょーか。鏡開きらしくぜんざいだヨ。」 「へ~、準備いいじゃない。って、ちょっと何よその袋は!」 「いやぁ、正月の売れ残りは安くってさ~。沢山買っちゃタヨ。」 「…まぁいいけどね。」 「はい、出来たよ~」 私は用意できたぜんざいと、新しい飲み物を用意した。 「それじゃあ、改めていただきます、っと。うん、甘さ控え目で美味しいわね。」 「良かった♪お餅もある程度甘みがあるし、甘さ控え目が一番だネ。さてと…」 私はすっと立ち上がって、かがみの隣に移動する。 「どこまでお餅が伸びるかやってみよーよ、かがみぃ。」 「…なんで私の横に来る必要があるのよ?ってか、そんなにくっ付かれると食べにくいんだけど…。」 私は口にお餅を口にくわえて、かがみの方を向く。 「ほあ、ほっちがわほはんえお。(ほら、そっち側を噛んでヨ。)」 「んな!な、なんでそんなこと…。」 言葉じゃ伝わりにくいから、じーっと、かがみの事を見つめてみる。 するとかがみは観念したのか、ジュースを一杯飲んでから、反対側の端を咥えた。 私は目で合図をして、少しずつお餅を伸ばしていく。(おもちうにょ~ん) 結果的には結構伸びたが、30~40cmぐらい伸びたところで、途中でお餅が切れてしまった。 「いやぁ、安物の割にはよく伸びたね~。1人でやるより全然伸びたよ。」 「…そうねぇ。ちょっと楽しかったけど、なんで今わざわざやったのよっ?」 「ほら、ちょっとした二人の共同作業だよ♪将来のための予行練習?」 軽く抱きしめながら上目遣いで言う。すると、ボンッという音がするかのように、顔が再び真っ赤に。 いやぁ、やっぱりかがみはからかい甲斐があるね~。 それに、ここらで主導権を握りなおしておかないと、最近押され気味だからね…。 でも、油断したり、気を抜いたりした矢先に、事件は起こるという宇宙の真理があるらしい。 「…ねぇ、こなた。口に小豆が付いてるわよ?とってあげるわ。ほらぁ…」 「えっ?う、うん、ありがt…?!?!」 しばらくは反応がないと思ってたから、急に声をかけられてびっくりしながら、OKしてしまった。 すると、てっきり手で取ってくれるのかと思ってたら、いきなりキスしてきたんだよ! 小豆ならもう取れてるはずなのに、結構長…い…。あ~、なんかどうにかなりそうだヨ… ようやく口を離してくれたのはどれぐらいか分からないけど、私が軽く酸欠になるぐらいだった。 「ハァ…ハァ…かがみ?き、急にどうしたのさ?」 「う~ん、こなたぁ~…。」 どこか目が虚ろだし、声が明らかに妖しい感じがする。お酒なんて飲ませてないのに、何で?! ふと、さっき持ってきた飲み物を良く見ると、カクテルっぽいことが書いてある。 ビンに入っていたから気付かなかったけど、てっきりいつも買ってるオレンジジュースだと思ってた。 最初に飲んでたのは間違いなく残ってたオレンジジュースで、冷蔵庫の中だと隣に置いてあったし、 中身がオレンジ色だったから確認せずに持ってきていた。 (あーっ!!間違えたーー!!あれ?でも、お父さんはビールだし、ゆーちゃんは飲むわけないから… ゆい姉さんのかーーー!!!油断したー!!) 「ふふふ、愛してるわよぉ、こなたぁっ!!」 「あ、ちょ、かがみ…っ!!ま、待っ、て、お、落ち着、いて…あ、だ、のぉーっ!!」 その夜は、暴走したかがみが正気に戻るまで相当な時間を要したのは言うまでもない。 (うぐぅ…今年はおとなしく嫁に落ち着こうかな…。全部裏目に出るヨ。嫌じゃないんだけどネ…。) - Fin - メルトダウンへ続く コメントフォーム 名前 コメント (≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-03-04 23 26 27) すまん… 素で気付かんかった…m(_ _)m -- 名無しさん (2008-09-26 01 20 14) せっかく一番下の方が酔っ払いのトラと虎を引っ掛けてらっしゃるのにな -- 名無しさん (2008-09-19 21 25 57) いや 狼かもしれんぞ………www -- 名無しさん (2008-09-19 11 52 42) おそるべし酔っ払いかがみん…かがみの本性は虎だったのですね(^-^; -- にゃあ (2008-09-13 08 58 37)
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もう、止まらなかった。いつからだろう?いつからこんなに、かがみを大好きなんだろう? でも、今はもう、どうでもいい。 「・・・かがみ。」 「あったかい?」 かがみの匂い。安らぐ、眠くなる、落ち着く。それでも鼓動は早い。全身が日だまりにいるような感覚。 「あったかい。かがみの脂肪のおかげかな?」 「・・・つっこまなくていいか?」 「ジョーダンだよ。凄く、温かいよかがみ。」 もう、戻れない。きっとかがみも分かってる。いつもの戯れとは違う事を。いつもの私とは違う事を。 私の想いを。 聞こえる、私のモノじゃない鼓動。私のモノと同じリズムで刻む。とくん、とくん。 「ねぇ・・・こなた?」 「ん?」 私の背中にしなやかな腕が伸びる。そして私は捕らえられる。初めての心地。 「いつになったら、言ってくれるの?」 夢かうつつか。そんな古文があったな。やっとその言葉の意味を理解する。 「何を?」 「な、何って・・・自分で、考えなさいよ・・・」 ふと見たかがみの顔は、真っ赤。さっきの比じゃない。本当の太陽のよう。 私は、太陽に惹かれた月。だから、静かに光る。 「聞きたい?」 「・・・聞くな。」 太陽があるから月は光る。月は美しく、白く輝く。だから月は太陽を愛でる。 「かがみは私の嫁!だよね?」 「・・・もっとまともに言えないわけ?」 月が沈んで、太陽が出る。太陽は空に映える。月がいたから、太陽は安心して夜を寝る。安心して、青空に映える。 「イヤ?」 「・・・イヤじゃない。」 「良かった。」 「私を嫁って言ったからには・・・淋しくさせたら許さないんだから。」 太陽は月を抱き、月は太陽を愛す。地球は嫉妬するかな? 「ねぇ、かがみ?」 許してね。悪いけど、月は絶対に太陽を手放さないから。ずっと月が月でいるために、太陽が太陽でいるために。 「大好きだよ。」 見上げた夜空に咲く満月。雲はない。この世界を支配する月は白く輝く。 明日の太陽は綺麗だな。
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【拝啓かがみ様】 こなたはその温かな指で、ぷっくりとした曲線を描くかがみの頬をなぞる。 静寂だけが二人を包み込んでいた。 今は何者にも邪魔をされたくない。 こなたは、かがみのその優雅な体型を、薄桃色の柔肌を覆い隠す衣をはだけさせ、仰向けに寝ていてもそれとわかる胸をあらわにさせた。 【拝啓こなた様】 最後に笑ったのはいつだっただろうか。 今はそれすらも思い出すことができない。 高校生だった私は毎日笑っていたような気がする。 笑うだけじゃない。怒ったり泣いたり、今では想像もつかないほどいろいろな感情があった。 しかし今は、一日中誰とも会話しないことが普通になっている。 機械仕掛けの人形のように、決まった時間に大学へ行き、終ったら家へ帰るといった動作を延々繰り返すだけ。 今の私の姿を見たら、こなたはどう思うのだろう……。 【拝啓かがみ様】 高校を卒業してからも、4人がそろうことはあった。 こなたは文学部へ、つかさは家庭生活学部へ、みゆきは医学部へ、そしてかがみは法学部へ。幸いにも全員都内の大学だった。 しかしそれも最初の1年くらいのことで、後は携帯メールでたまに連絡を取り合う程度。 あの3年間も、夏のソフトクリームが溶け出すように、最初はゆっくりと、そして徐々に加速し、 最後には空になったコーンの名残を惜しむようなべた付きと、バニラの甘い香りだけが手にのこるように甘美な思い出となっていた。 【拝啓こなた様】 壁に貼った写真の私、高校生だったころの私が笑っているのが見える。高校時代は本当に毎日が楽しかった。 楽しすぎた。 一番幸せな時間だった。 あの頃の私が、今の私を見たらどう思うのだろう。 怒るだろうか、悲しむだろうか、それとも嗤うだろうか……。 いや、きっとどれも違う。きっと今の私を私だとは認めないだろう。 認めないで欲しい。この時間が永遠には続かないだろうと知りながらも、永遠であって欲しいと願っていた頃の私には……。 【拝啓かがみ様】 こなたは赤ん坊のように、かがみの乳房に接吻した。 しかしそこにはひんやりとした感触しかなく、こなたは静かに涙を落とす。 涙を伝えるかがみの曲線は、まるで水分を多分に含んだ最上の桃のように思えた。 【拝啓こなた様】 今の私には、かつての私のような輝きはない。 だったら、できるだけあの3年間に近いうちに時をとどめておきたい。 あの夢のような時間を過ごした私を思い出せる間に……。 ……そろそろ練炭の煙が私を包み込む。 私、笑ってる? あの写真のように、こなたが知ってる私のように笑えてる? ねえ、こな 完